スカイキャプテン
ワールド・ブ・トゥモロー
SKY CAPTAIN and the WORLD of TOMORROW

2004年/アメリカ

 先に言っておくと、私はこの映画結構楽しめました。
 こういうパルプSF系というかSF連続劇も好きですし、レトロフューチャーな美術も好みですから。
 お話の荒唐無稽さもそういう”古き良き時代の冒険活劇”っぽくて良い感じです。
 でも人から「面白かったか?」と聞かれると「面白かったよ。でもねぇ・・・・・。」となってしまうわけです。

 映画の内容は、序盤:バックロジャースやフラッシュゴードンみたいなシリアルSF、中盤:ロストワールドやインディジョーンズのような秘境探検モノ、終盤:何故か007、あるいは(分からないかもしれませんが)R.O.D(OVA版です)みたいな感じ、という具合です。
 まあパッみメチャクチャですが(実際メチャクチャなんですけど)これは元々そういう映画ですし、難しいお話もないので違和感はありません。
 ただ、何というか全てが何処かで見た気がするんですよね。
 「あ、このシーン○○って映画の○○ってシーンみたい。」
 と、全編とは言いませんが、多くのシーンがそんな感じなんですよね。
 例えばキャップのチームの天才技師デックスが自作の光線銃をテストするシーンはどう見ても007のQですし、キャップとポリーが敵のアジトのある島に乗り込んで行くんですが、そこで倒木の橋を渡るシーンなんかどう見てもキングコングなわけですよ。オマージュといえば聞こえは良いですがようするにパクリなんですよね。
 いえ、パクリが悪いと言ってるわけではありません。パクリでもオリジナルをちゃんとリスペクトして、効果的にパクっていればそれが新しいオリジナルにも化けたりするわけですし。
 ただこの作品の場合なんかなぞっただけのように見えるんですね。
 勿論ただイタダくわけじゃなくて、ちゃんと監督による演出が加わってるわけなんですが、余りにも直球で来すぎるというか。
 言い方が難しいんですが、パッチワークのような感じなんですよ。
 「ここはこういうシーンだからあの映画の同じシーンをいただいて。で、次はこんなシーンだからこの映画の同じようなシーンを」みたいに見えちゃうんですよね。

 まあパクリが気にならない人には中々に面白いんじゃないでしょうか。
 アンジェリーナ・ジョリーが演じる片目の(アイパッチしてる!)秘密部隊の隊長さんが率いているのは英国の秘密兵器・飛行空母なんですが、要するにクラウドベースなわけですよ。またコイツが7号まであって全世界に展開してるらしいんです。で、そいつにはリヴァイアサンという潜水戦闘機、海にも潜れる戦闘機を搭載してるんですが、これがまたシービュー号に翼の生えたような格好なんですよね〜。
 雪の中をエンパイアステートビルに停泊するヒンデンブルグ号、レトロフューチャーなニューヨークの街並みをバックにホルテンみたいでしかもはばたく飛行ロボットとドッグファイトするウォーホーク、電波塔からリング状に広がる電波、そういう映像が好きならこの映画は十分楽しめますよ。

 結局一番気になったのは敵の親玉トーテンコフ博士です。
 なんとこれを往年の名優、サー・ローレンス・オリヴィエが演じてるんです。
 いや、演じてるというのは正しい言い方じゃありませんね。
 過去の登場作品をデジタル編集して使用しているわけです。
 これは一寸いただけない。幾ら遺族の方に許可を取ったとはいえ、かつての出演作品を改竄して自分の映画に用いるなんて一寸やりすぎではないでしょうか。これなら俳優なんて要らない、なんて事にもなりかねないとも思うのですが。
 まあこの映画の場合背景やメカなど殆どがディジタル処理されてますから、ローレンス・オリヴィエの出演もそうした”特殊効果”の一つと割り切るべきなのかもしれませんが。

 兎に角そういうわけなので、私は面白い映画だと思いますが、人を選びますね。

 あ、そういえばこの映画の一番凄い特殊効果はグィネス・パルトロウがカエル顔に見えない事だと思いますよ。
 あのケロヨンを真っ当な人間にしたわけですから、これこそ正にムービー・マジックでしょうよ。
 

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