シークレット・ウィンドウ
SECRET WINDOW
2004年/アメリカ
予めお断りしておくと、私はスティーヴン・キングは読まない人間です。
なので原作と比較してどうこうという話は出来ません。
パンフレットに目を通したりするとかなり改変されているような印象を受けますが、どうなんでしょう?
にしてもこれは映画としては結構微妙なシロモノだと思いますね。
ジャンル分けするならば、サイコサスペンス若しくはサイコホラーという辺りなんでしょうけど、兎に角中身がベタベタなんです。
これほど早い時間にオチはおろかそこへ至るまでの展開が読めてしまった映画は初めてです。
シューターが何者なのかとかジョニー・デップがどうなるのかとかは勿論の事、登場人物(それも決して多くない)の行く末までキッチリキレイに分かってしまったんですよ。というか余りにも展開がベタなので直ぐに読めてしまうんですよね。
というわけで始まって30分を過ぎる頃にはまるで”算数ドリルの答え合わせをしている”ような気分でスリルもサスペンスも何処へやら。
まあ考えようによっては”茶でも飲みながら落ち着いてみることが出来るサイコホラー”なんていうのは全く以て希有な存在なので、レンタル要員としては丁度良いかも知れませんが。
と、ここまで書くと
「なんだ? この映画怖くないの? サイコホラーだと思ってたのに。」
と思われる方もいらっしゃる事でしょう。
いえいえ、決してそんな事はありませんよ。
怖いんですよ、ちゃんと。
一寸想像してみてください。
前夜に深酒した日曜日の朝。ソファで眠ってしまったせいで体はギシギシ。オマケに軽い二日酔いで頭が疼く。そんな状態の時に激しく玄関を叩くヤツがいる。誰かと思って開けてみると、そこには鍔広の被り、俯き加減のジョン・タトゥーロが経ってて、唇をゆがめつつ上目遣いでこちらを見ているんですよ。
どうです? 怖いでしょ?
しかもその口から
「ワレ、ワシの小説パクッたやろ?」
と関西弁で呟かれた日にゃあ、もう・・・・・・。
まあ出だしはこんな感じなんですよね。
というわけで怖い事は怖いです。
アナタが求めている種類の怖さとは多分に違うかも知れませんが。
ジョニー・デップも良かったです。
作家という役で当然本が絡むもんですから、勝手に「ナインスゲート」のディーン・コルソみたいな役かなとか思ってましたが、全然違いました。
まあ”盗作疑惑で脅迫される作家”が探偵みたいな事するわけないですよね。
それでも強迫神経症的な演技は中々決まってましたよ。最後のイカレっぷりもかっこよかったし。
というわけでまあ個人的にはそこそこ楽しみました。
たまにはこんなボンヤリ見られるサスペンスがあっても良いのではないでしょうか。
・・・・・・・・・・良くないか。