お好み焼き”堕薇泥”

商店街の丁度中ほどに位置している、気さくな雰囲気のお店です。

外観

 建物そのものは干し煉瓦造りの簡素な造りで、素朴さの中にも歴史の深さを漂わせています。

 また高さそのものは2階分くらいありますが、その2階に相当する部分には
窓は一つもありません。
 入り口は大きな鋼鉄の扉で、明けるには一寸力が必要です。酷く赤錆の浮いたその表面には紫のペンキで「お好み焼き”堕薇泥”」と店名が記されていますが、字が大きすぎて壁まではみ出してしまってます。

 通りに面した壁にはこの店唯一の窓があり、お好みを焼いている所が外から見えるようになっているのですが、現在その窓は
巨大な人の目が描かれた張り紙で塞がれています。

店内の様子

 店の中はごく普通のお好み焼き屋です。

 カウンターに6席、勿論前には鉄板があります。
 また鉄板付き四人掛けテーブルが三つあります。

 壁にはポスターが二枚、「五芒星のペンダントを片手ににこやかに微笑むヒゲ面のオヤジ(アラブ風)」と「羊」の写真のものですが、文字が全部ヘブライ語なので、具体的に何が書いてあるかは分かりません。マガジンラックには粘土板が挿して有りますが、これもヘブライ
語です。

 店員は店長とその奥さんの二人。両方とも全身黒ずくめ、顔にも黒い頭巾を被っており「黒いKKK」という感じです。また終始無言で客とは勿論の事、二人が喋っているのを見たり聞いたりしたものはいません。

 この店のメニューは二つ、「堕薇泥焼き」と「堕薇泥焼き定食(通称ダビ定)」だけです。
 「堕薇泥焼き」はとうもろこしの粉を水で練ったものを、何も混ぜずにそのまま焼くという素朴な味わいが魅力のこの店の看板メニュー。定食になると茶碗すりきり一杯の米(未調理)がついてきます。歯や顎を鍛えるのにはもってこい!

 寡黙にして信念を感じさせる店長は、一心不乱にこの堕薇泥焼きを焼き続けています。たとえ客が居なくても。
 ですから店の鉄板の隅には焼き上がった堕薇泥焼きがいつも堆く積まれているのです。
 でも御心配無く!注文すればそれとは別にちゃんと焼いてくれますから、何時でもアツアツの堕薇泥焼きが楽しめます。

 そしてそんな店長を支える奥さんは電話番を主な仕事にしています。掛かってきた事はありませんが。
 とにかく焼き物については夫に全幅の信頼を寄せており、ダビ定の為に茶碗に米を入れる以外は決して調理場には入りません。

 堕薇泥焼きは460ベガ、ダビ定は750ベガとお手軽な料金になっています。

 

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