ゴルフショップ”レ・ミゼランブル”

ゴルフショップ”レ・ミゼラブル”は商店街の中でもかなりの老舗です。

外観

 店自体に歴史があるので、その外観も一際落ち着いた佇まいを見せています。

 昭和中期の木造建築を基調としていますが、最近手入れが行き届いていないらしく、痛み放題で所々雑草が生えている瓦屋根や板張りの壁が、逆に古風で独創的な雰囲気を醸し出しています。

 二階の窓は全て×印にガムテープ張られており、一階の窓は全て雨戸が閉まっています。

 店の外、通りに面した壁際には傘立てを大きくしたような木製のラックが3基備え付けられており、そこには大量のゴルフクラブが挿して有ります。因みにクラブは全て7番アイアンで、長い間ここに放置されているらしく、錆びが浮いてボロボロになっています。
 またラックの横には大きなポスターが貼って有りますが、日に焼けて真っ白になっており、何のポスターなのかは分かりません。

 入り口の戸は立て付けが悪く開けるのに少々コツが要ります。
 またその上には暖簾が掛けてあるのですが汚れと痛みが激しくその書き文字は判読出来ません
(近所の人の話ではロシア語で”破壊”と書いてあるそうです)

店内の様子

 店内は薄暗く、じめじめとしています。
 それもそのはず、店の中央に二抱えほどもありそうな巨大なダルマストーブが設置されており、その上に置かれたベコベコの金盥から沸騰した湯が蒸気を上げまくっているからです。

 店内には所狭しとラックが並べられていますが、そこに置かれているクラブは店の前と同じく全て7番アイアンで、室内の湿気のせいで真っ赤に錆び付き、酷いものになると崩れてしまって原型を留めていません。

 また店内には至る所に”奥比叡ドライブウェイ”のポスターが張って有りますが、中に一つだけ黒バックに赤字で

 
あなたを見ている。

 と書かれたポスターがあります。
 このポスターを見てしまった人はその日一日胃の調子が悪くなるという噂が有ります。

 店の奥のカウンターに登山者の格好をしている初老の男性がいます。
 彼がこの店の唯一の店員であるオーナーで、火の点いてないパイプをトレードマークにしており、いつも咥えています。普段はぶっきらぼうで無愛想ですが、ゴルフについて訪ねてくる初心者のお客さんには「生まれてこのかたゴルフなんかやったことないからワシも詳しい事は知らん!」と気さくに教えてくれます。

 因みに商品は並べてある7番アイアンとカウンターで売ってる100円ライターだけです。この100円ライター、ボディが黒くてガスの残りが分からない上、火力調節が無く、火を点けると恐ろしく巨大な火柱が上がるので、初心者は注意が必要です。因みに価格は225円(税抜き)。

 あと7番アイアンの方は「売った事が無いから値段は分からん!」との事でした。

 

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