回転寿司”ウォッシャー液”
新鮮な山海の珍味を、リーズナブルな価格で!
外観
黒、グレー、茶の三色の自然石を複雑に積み重ねて形作られた店舗は独特の威容を誇り、重量感もタップリで見るものを威圧します。
また壁際の至る所には大小様々なサイズの無骨な鋼鉄製のバリケードがデコレートされています。
屋上には3機のコンピュータ制御の大型サーチライトが据え付けられています。
そこから放たれる赤・青・緑のカクテル光線が昼夜の別を問わず通りを照らし続けています。
窓は通りに面した壁に三箇所あります。
何れも頑丈な鉄格子が嵌っており、常時10万Vの高圧電流が流れているので近付かない方が良いでしょう。
車で来ようという方のために店の横には駐車場も完備しています。一応17台駐車出来ますが、真ん中の列の3台分以外は駐車スペース内に鉄製の十字架が建てられており、車を停める事が出来ません。
入り口は上へスライドするゲート式で、自動ドアですが、鋼鉄製のゲートは相当な重量の為に開ききるまでに少し時間が掛かります。
因みにゲートの脇に座り、煙草をふかしている”じんぎすかん”と平仮名で書かれたTシャツを着た中年の男性はこの店の店長さんです。
何時もこの場所にいるので、店に入る前に一言挨拶しておくと良いでしょう。
店内の様子
外観と同じく健在が剥き出しになった店内には長年の間に染み付いた油臭さが漂っています。慣れない内は戸惑うかもしれませんが、特に問題は無いので心配しないように。
また壁際には至る所に鉄板にラッカー塗料で殴り書きされた”お品書き”がボルトで打ち込まれていますが、字が汚いのと塗料垂れのせいで殆ど判読できません。
中央には当然カウンターと椅子があるわけですが、ここが普通の寿司屋と違うところ、なんとカウンターが砕石場などで見かけるベルトコンベアーになっているのです。
しかもこのコンベアーは手動で、カウンターの内側直ぐのところでは西洋風の甲冑を着た男たちがコンベアーを動かす為の棒を押し続けています。
因みにカウンターは一面コンベアーで皿を置くスペースなどはありません。
さて回転しているネタを見てみましょう。コンベアーの上にはアルミの皿に乗せられて”割れた岩”や”割れた煉瓦”、”割れたコンクリート”などがギシギシと音を建てながら回っています。おっと、皿を取る時は十分気をつけてください、かなりの重量ですから。
さてカウンターの更に内側、ほぼ中央近くにはネタを捌く”職人さん”たちが居ます。
皆裸に黒い皮製のエプロンを纏い、顔にはガスマスクを被っています。また皆互いの足を太い鎖で繋ぎ合わせています。そして手には巨大なハンマー。そのハンマーを使い、店の中に常に流れ続ける唯一のBGM”we will rock you”のリズムに合わせて岩やブロックなどを砕き続けるのです。
店構えや店内の本格的な雰囲気とは裏腹に、お値段は本当にリーズナブルに設定されていて、”岩”は100円、”煉瓦”、”コンクリート”は80円、”鉄筋”が120円と非常に良心的です。
平日の昼間は混雑している事が多いので、ゆっくり食事を楽しみたい人は避けたほうがいいかもしれません。