序文
何故、UFOに拘るのか?

 人とUFOの話をする時、良くこう言われます。
 「詳しいな、信じても居ないクセに。」
 まあ私が信じていないのは「地球外知性体の恒星間若しくは惑星間飛行機械による地球来訪」なのですが、そう主張したところで中々に理解しては貰えません。なので説明はしないのですが必ずこう切り返すことにしています。
 「信じて無くてもUFOは面白いんだって」
 そう、信じる事と面白いという事の間には何の因果関係も無いわけです。

 
子供の頃、もう少し正確に言うと小学校低学年の頃、私はUFOや宇宙人の存在を信じていました。
 ここで言うUFOは勿論”宇宙人の乗り物”という意味です。
 TVで特番などが放送される度、UFOや宇宙人の恐怖に怯えたものです。
 この宇宙には人類を遙かに凌ぐ科学力を持つ宇宙人が存在し、地球を訪れている。その目的は実験や観察、また地球人が誤った道を進まないように指導するという基本的には害の無いものですが、中には地球人を使った人体実験、更には圧倒的戦力を用いての地球侵略と恐るべき企みを持つ悪魔の如き宇宙人も存在する。
 勿論100%信じていたわけではありませんが、しかしやはり心の何処かで「ひょっとして?」という思いがあったわけです。
 まあこの頃はUFOだけで無くネッシーや幽霊やノストラダムスの大予言も同じように信じていたわけなんですが。

 勿論年齢を経て行くに従ってそうしたものが基本的に眉唾モノだという事が分かって来ました。
 多くの人がそうであるように「そんなもの有るわけ無い」と思うようになりました。
 しかし、何故かUFOへの興味が無くならなかったのです。

 一番の理由はUFOに纏わる諸々の話が基本的に”面白い”からです。
 勿論面白いにも様々な種類があり、興味をそそられるという意味から「はっはっは、笑わしよんな!」というレベルまで多岐に渡る訳ですが、最初に引っ掛かったのが”宇宙人遭遇話の面白さ”でした。
 宇宙人に遭遇したという人の話は、それはもう宇宙の広大無辺さを思い知らされるほど様々なヴァリエーションを有しており、ロボットみたいなの、妖精みたいなの、巨人、小人、毛むくじゃら、動物と見分けが付かないもの、既に何だか分からないものなど色々な宇宙人(冷静に考えてみれば人じゃない方が多いような気もしますが)が様々な人に目撃されているんです。やってる事もムチャクチャです。鉢植えから花を引っこ抜いてみたり、犬を盗もうとしたり、水を欲しがったり。黒塗りのキャデラックで現れてギャング映画みたいな台詞を吐く宇宙人は、一体どんな文明から来たんでしょうか?
 一寸見方を変えてみると、それまであんなにも恐ろしかった話が、途端に面白い話になったのです。

 そして90年代に入る頃には”UFO目撃事件が成立する過程”に興味を持つようになっていました。
 人は何故UFOを見るのか? 何故UFOを巡る他愛もない話を鵜呑みにしてしまうのか? 何故頭がおかしくなるほどUFOの研究に没頭してしまうのか?
 UFO事件とそれを巡る人間に興味を惹かれたのです。
 またその頃にはUFO関係の書籍もエキセントリックなものばかりでなく、真面目にこの問題に取り組んだ本も幾らか出版されるようになっていました。
 またインターネットの普及も、大きな助けになりました。ネット世界を色々見て回る事で私と同じような興味を抱いている人、もっと進んで色んな事を調べたり考察したりしている人、昔の私と同じように悪意有る宇宙人の地球侵略に怯えている人、様々な人が居たわけです。
 しかし、基本は一様に同じ。UFOに関心がある、という事です。

 今日、また過去に遡って見ても、一般にUFOがイロモノ以外の扱いを受ける機会は殆どありません。
 大抵の人は宇宙人というと灰色の小人を連想し、そしてどうせインチキだと決め込んでしまいます。
 悲しいことにこの決め込みは概ね核心を突いており、UFOだの宇宙人の話だのはインチキが殆どです。
 でもね、インチキでも構わないんですよ。面白いんですから。

 現在、UFO問題は非常に多層的な構造をしています。
 要するにピラミッドのようなものです。
 ”目撃報告”という広く隙間無く並べられた敷石の上に、様々な石が複雑な噛み合い、ひしめき合って並んでいる状態です。その石は「アブダクション」だったり「キャトルミューティレイション」だったり、「ロズウェル事件」だったり「エリア51」だったり「MJ−12」だったりします。勿論それ以外にも真面目な研究やリサーチもあるわけですから正に玉石混合なわけです。
 そして、どの石も実に個性的で面白いわけです。
 そう、UFOは何処を切っても面白いのです。

 6月24日はUFOの日です。
 この日、ケネス・アーノルドがレイニア山付近で編隊飛行する謎の物体を目撃した日、UFOは数多の超常現象、妖精や妖怪、幽霊、魔女や怪物の群れの中から一歩抜け出して、独自の世界を築き始めたのです。
 一UFOマニアとしてこの日を記念し、そしていくらかでも多くの人にUFOの面白さを知って貰いたい。そんな思いで今回のUFO企画を考えました。
 勿論ここでお送りするのはUFOの面白さのほんの一部、ピラミッドで言うならその石の幾つかに過ぎません。
 もし興味をお持ちになったら是非色々と調べてみて下さい。

 それこそ宇宙にも負けない、UFO世界の広大無辺さに驚き、面白く感じると思います。

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